【相続放棄】Q.母と離婚した父の借金の督促状が、今さら自分に・・・!?

ご相談時の状況

1年半前に亡くなったお父様の相続人(娘)である女性に、消費者金融から督促状が届きました。
女性は、どうしたらいいかわからず、当事務所に相談に来られました。

女性によると、

「両親は20年以上も前に離婚して、私は母と暮らしていました。
父の子どもは私と兄の二人です。(離婚後に増えたかどうかわからないが。)
兄は父に引き取られました。それからは、母も私も、父と兄がどこでどのように暮らしていたか知りませんでした。

そして今から一年ほど前に、兄から手紙が届きました。
『父が亡くなった。父と住んでいた●●県の自宅の名義を自分に変更したいので、同封した書類に署名捺印して印鑑証明書をつけて送り返してほしい』と。

父の遺産などには全く興味がなかったので、言われるままに書類に署名捺印して印鑑証明書付きですぐに返送しました。

それから半年後の今、このような督促状が届き、びっくりしています。
兄からは、父に借金があったなんて全く知らされていなかったので・・・。

相続放棄って3ヶ月以内しかできないんですよね?
今からでも、私は父の借金と無関係になれますか・・・!?」
との切実なお悩みでした。

 

当事務所からの提案と具体的な解決策

今からでも家庭裁判所での相続放棄の手続きができるかどうか、が問題となります。
(できるならば、女性は借金とは無関係となります。)
一般に、ある方が亡くなったことを知って、自分が相続人であることを認識してから3ヶ月以内であれば、相続放棄の申述を家庭裁判所にすることができます。

さらに、何も相続手続きをしないでいたところに亡くなった方に負債があることが判った時点で既にその3ヶ月が経過していたとしても、何も相続手続きをしないのが「手続きすべき財産が全くない」という考えに起因したのであれば、負債が発覚してから3ヶ月以内であれば相続放棄の手続きが可能な場合もあります(昭和59年最高裁判決)。

しかし、今回は、まがりなりにも、土地建物の名義を変えるための書類(おそらく遺産分割協議書)に署名捺印しています。一般に、遺産分割協議をすると、「相続を承認した」と認められ、相続放棄ができなくなります。
この法理の壁をどう乗り越えるかが、非常に大問題でした。

 

当事務所に依頼をした結果

とりあえず、うまくいくかどうかわからないが、相続放棄の申立をしてみよう、ということになりました。(もし家裁に却下されたら、女性はその債務を一旦受け継いだことになり、債務整理の方法か消滅時効の援用等で対応しなければなりません。そのことを良くご理解いただいたうえで手続きを始めました。)

相続放棄の申述書に、女性がいかに父と疎遠であったか、父の遺産内容とくに負債等について全く把握していなかったか、父に負債があることが判っていれば漫然と書類に署名捺印などせずすぐに専門家等に相談して相続放棄の手続きをとっていたはずであること、署名自体が遺産分割協議であったとしても遺産についての認識がないまま行われたもので錯誤無効であること、などを詳細に述べた「上申書」を家庭裁判所に提出しました。

後日、家庭裁判所から、当時署名した書類の写しを追加で提出してほしいと連絡がありました。家庭裁判所の考えとしては、おそらく、その書類(遺産分割協議書と思われる)の内容が、女性が全く遺産を取得しない内容であったならば、先の最高裁判決の趣旨を敷衍して、相続放棄を受理してもよいということではないかと推測しました。

しかし、女性は書類の写しなど保管していなかったので、当事務所は、県外の法務局の近くに事務所のある知り合いの同職に依頼し、その法務局に保管されているはずの書類を写真撮影してきてもらいました。
その写真のコピーを家庭裁判所に送付し、数日後、無事に女性の相続放棄は受理されました。

当事務所でも経験したことがない事案でしたし、うまくいかなかった時のことを考えると憂鬱でしたが、無事に終えることができ、女性には大変感謝されました。

※このような案件で相続放棄が受理されるかどうかはケースバイケースで、裁判官の裁量によるところが大きいものです。よって、当事務所は必ず相続放棄が受理されることを保証している訳ではありません。
しかし、あきらめずにトライしてみる価値はあると思いますので、類似の案件にはこれからもご相談に乗らせていただきます。

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